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2004.09.30

そのバイト語はやめなさい 小林作都子著

日常的に、職場や家庭で話している言葉は、「環境」によって作られることがよくわかる一冊。
『そのバイト語はやめなさい』は、アルバイトをやとっている接客業・小売業の現場スタッフを読者に想定し、お客様が気分を害されたり、不快に思わせないための会話術を教える。
具体的には、良く耳にする「わかりにくい 不快な」丁寧語・尊敬語・謙譲語を例に、シンプルに直していく。

CVSやファーストフードでかなり耳にする『千円からお預かりします』という言葉も、なんでこんなに違和感を感じるかも解説されている。

メールの文章でも書きがちな、例。
× 『書類をお送りさせていただきました』
○ 書類をお送りしました。
○ 書類を送らせていただきました

メールや電話では、おしつけ『いただき表現』や、ごり押し『いただき表現』が氾濫しているため、最近は特に、『させていただく』に違和感を感じ、自身で誤用しないように気をつけている記述である。

そのバイト語はやめなさい
小林作都子著

オトナ語は、丁寧語・尊敬語・謙譲語を超え、ビジネス現場での「謝罪」「ごまかし」「いいわけ」を円滑にするために編み出された言葉である。
つくづく、言葉は人々の共同作業で作られて伝染していくモノだと感じた。

オトナ語の謎。(ほぼ日ブックス)
糸井重里監修

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2004.09.19

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い 著.西尾維新

 かわいらしいイラストと、流れるようなフォントデザインの表紙と、殺人事件がおこるミステリーという中身とのギャップが大きいパッケージ。森博嗣氏との対談記事で、著者に興味をひかれたため、購入してみた。
 主人公『ぼく』の視点で物語が進行する。短いセリフと、たくさんの思考。いろんなことを考えている様が文字になっていて、ユニークな考え方や経験がつかめてくる。
 著者の頭の中でビジュアルができあがっていて、それが記されているような映像感覚が得られる。登場人物の名前が奇抜で読み方を時々忘れるが、会話に著しい特長があるため、軽快に読める。ボケとツッコミの間のスピード感も伝わってくるほどだ。
 シリーズが進むと、『ぼく』がほぼ毎月事件に巻き込まれて、決着させていく。今月も新刊が予定されており、作品発刊が待ち遠しい著者となった。

bk1に寄せられた書評

クビキリサイクル(講談社ノベルス)
西尾維新著

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2004.09.15

飛躍を

取引先の方が、退職されることになり、挨拶に来られた。突然のことで、びっくりしたが、希望を持って次のステップを目指すようだ。

グラフィックデザイン・アイディア・コピーライティング・web制作とマルチなパフォーマンスを発揮したり、一方で、剣道で培われたねばり強さがあるから、道が開かれることは、期待できる。

ニュージーランドでのワーキングホリデーも視野に入っているようで、30歳を迎える前の飛躍を祈りたい。

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2004.09.11

Φは壊れたね(ファイはこわれたね)森博嗣著

謎を解く人物の名前がシリーズ名になるため、Qシリーズの主人公はどんな名前かと、ページをめくれば登場人物に海月及介(くらげきゅうすけ)がいた。最初のシリーズの犀川がそうであったように、寡黙なタイプ。そこで記述はその周りの人々を追っていく。比較的行動派の山吹院生と、「しゃべることもないのに言葉を繰り出せる」才能を持つ加部谷恵美が物語を引っ張り、軽快に読みすむことができる。
密室が作られた過程を断片的事実から推理し、実行者の動機や事情を比較的軽く扱う手法は以前からのシリーズと変わらない。発売を心待ちにするシリーズができてうれしい限り。次作は、『θは遊んでくれたよ』となるそうだ。

bk1による説明や読者書評

φは壊れたね(講談社ノベルス)
森博嗣著

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2004.09.08

サイボウズ流 秘伝「メール対応虎の巻」

お客様からメールに対して、返事をするときに使える。特に4.は重要だ。
創業時にサイボウズ社の社長が作成した7項目。

1.お客様と絶対に議論してはならない
嫁さんと議論しないのと同意である

2.文章は肯定表現で終えよ
否定表現はお客様に不快感を与える

3.知的、紳士的な文章を心がけよ
文章の伝達では、表情やニュアンスは伝わらない

4.適切とは思えなくてもお客様を訂正してはならない
真意を伝えることが第一目的である

5.お客様の書いた文章より長い文章で返答せよ
熱心さがお客様に伝わる

6.略語は使用してはならない
怠慢の表れであり、それがお客様に伝わる

7.可能な限り迅速に対応せよ
お客様に安心感を与える


お客様からのメール対応のためのソフトウェア、メールワイズは社内要求に応じて制作したモノを商品化したそうだ

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空の境界(からのきょうかい)奈須きのこ著

さっぱりした読後感が得られるストーリーであった。19歳の黒桐と、血筋が古い17歳の両儀のお互いを思う恋心が出会いから、確信までつづられる。伝奇小説というジャンルになるという。血筋、武術、宗教、信仰、神話など、古さや伝統の中にある重々しさや怪しさ、畏れなどをモチーフにしていることが特長のようで、本書では血筋と陰陽道、武術、魔術の世界が書かれる。さまざまな登場人物の1人称で語られるシーンは、エッセイや詩、日記を読んでいるかのよう。語り手・場面が時に逆行するが、主人公たちの出会う前や、生い立ちを自然に観察できる読みやすさであった。
著者のサークル 竹箒


bk1による内容紹介

空の境界 上(講談社ノベルス)
奈須きのこ著

空の境界 下(講談社ノベルス)
奈須きのこ著

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