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2004.10.30

最後のラブレター ばらっちからカモメール  鴨志田穣文・西原理恵子画

離婚についてホテルの一室で話すシーンすらさらりと書かれてしまう。
沖縄に飛び出し、吐血。緊急の輸血が必要なほどの重い症状にもかかわらず、安静にしない。それどころか、覚えていないほど酒を飲んでしまう。離婚後は母親に家に身を寄せた著者の、重々しい生活が伝わってくる。
3回目の吐血で死の直前までせまり、静脈瘤の恐ろしさが実感できる。

最後のラブレター
鴨志田穣文・西原理恵子まんが

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ダブルダウン勘繰郎 西尾維新著

戯言シリーズの著者作品として、手に取った。帯やカバーには、清涼院流水のJDCワールドとの関連が書かれている。そちらをまったく読んだことがないと楽しめないかと思ったが全く問題なかった。
中学生の頃に探偵を志していた蘿蔔むつみ(すずしろむつみ)が語り部となって、15歳くらいの虚野勘繰郎(むなしのかんぐろう)と事件を追うストーリー。
ミステリーに登場する探偵という職業が持つ偽善さを、事件に直面した側から糾弾する。

謎解きではない。東野圭吾のギャグテイストとはまったく反対のシリアステイストで、探偵という職業の苦悩や喜びの描写が楽しい。

ダブルダウン勘繰郎(講談社ノベルス)
西尾維新著

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復活の地3 小川一水著

政治的な圧力により官僚としての権力を失ったセイオの地道な行動が心地よい。
大地震が予知できた場合の行政・市民・軍隊・外国の動きが克明に書かれる様は、中学生ぐらいに読んだ小松左京の日本沈没や首都消失を思い出させる。

復活の地 3(ハヤカワ文庫 JA 770)
小川一水著

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2004.10.16

膚の下(はだえのした)神林長平著

「あなたの魂に安らぎあれ」「帝王の殻」と舞台を同じくしている。まずそのボリュームに驚かされた。684ページあり、電車の中で読んでいると本の重さをきつく感じる量であった。人造人間アートルーバーは、どのように生きればいいかを考え抜く教育をされて成長してきた。物語の中で主人公の慧慈は、苦悩し続け、道を見つけ出す。優越感・劣等感・区別・差別など、社会に存在するギャップやゆがみをより浮き彫りにする著者のストーリーの運びは、すばらしい。社会を形成せずに生きられない人間。自信の存在価値を相対化するために、絶えず人と比較したり、支配したりすることを望む欲望。
読後感も良い作品であった。

膚の下
神林長平著

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永野護『ファイブスター物語大特集』ダヴィンチ2004年11月号

10ページに渡る永野氏へのインタビュー記事で特集が組まれている。1986年より連載し、作者がSFやファンタジーではなく、おとぎ話としている意図をはじめ、登場人物の構想や登場するモノの構想などについて語っている。読者を楽しませるためのエンターティメント要素と、作者自身がカッコイイと思っていることを取り入れている姿勢が、読み取れる。

2年後、3年後に読者が見たときに、こんなことをしていたのかと驚くデザインも仕掛けています。たぶん、今、僕がおもしろいと思っていることは2年後3年後に読者もおもしろいと思ってくれる。そう言う自信というか、長年やってきた勘みたいなものがあるんですよ。

ダ・ヴィンチ 2004年11月号

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2004.10.10

矢貫隆の交通問題 侃々諤々NAVI2004年11月号

交差点や歩道橋に意味もなく沢山の交通標語が掲示されている。ノンフィクションライターの矢貫隆氏がコラムで、その出現背景と効果のなさを論じている。

なぜ、たくさん掲示されるのか。
著者が運輸大臣の諮問機関の委員会「安全小委員会」に任命されたときの経験から語った。
著者はアホかと思ったが、委員はマナーやモラルで安全が保てると考え、その向上が交通事故の削減に寄与すると認識しているという。

交通事故の実態はどうか。
1.クルマの数が多い
2.交通事故の6割は交差点とその付近で発生
3.死亡事故を起こした8割のクルマの直前の速度は40km/h以下
著者は3点をあげ、現実を記す。

これらの事実が教えているのは「事故は特段に悪質でも何でもない普通のドライバーが、ごく当たり前のスピードで走っていて、たまたま差しかかった変哲もない交差点で起こしてしまった」という現実なのである。ただそれだけであって、マナーだのモラルのだといった精神論など、まるでお呼びではないのである。

bk1にある著書「交通殺人」の紹介と斉藤貴男氏による書評

交通殺人
矢貫隆著

大阪府警の秋の交通安全運動


警視庁の交通事故統計

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2004.10.04

西尾維新特集 詩と批評ユリイカ9月臨時増刊号

書き下ろし小説や、斎藤環や東浩紀との対談、笠井潔他14人におよぶ論考など。作品の内容に深く切り込んでいるため、氏の作品を読んでからこの雑誌は読みたい。玉川博章は、氏の作品の論考で、記している。

デビュー作「クビキリサイクル」以降、講談社ノベルズで執筆しており、内容的にも新本格ミステリーに属するのは言うまでもない。一般には、清涼院流水以降の、舞城王太郎、佐藤友哉に続く新人として位置づけられるだろう。〜ミステリ以外に別の視点からもカテゴライズできるだろう。それは「ライトノベル」という枠である。


ユリイカ9月増刊号 西尾維新

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