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2008.02.14

レビュー再考 林信行さん

MacBook Airの記事作成に伴い、パソコン雑誌やネットニュースのレビュー記事について見解を述べている。

雑誌にしてもWebにしても、ブログにしても、そもそもレビュー記事というのは嘘だらけだと私は思っている。実際、自分でいくつものレビュー記事を書いていても、嘘だらけだと感じている部分が多かった。
といった問題提起から始まり、議論が活発になればと記されている。 [1]ベンチマークの計測手段 [2]評者の個性の有無 [4]レシピのような決まり文句。メーカへの最大限の配慮。 [6]すべての媒体のレビューが同じになるのか?

こうした論点を別の雑誌で読んだ。それは自動車雑誌NAVIの巻頭コラムだ。CarGraphicという長年ある自動車雑誌を出している二玄社がそれまでの自動車雑誌の「典型的なレシピ」を否定した編集であった。
スピードだ、ハンドリングだ、馬力だといった自動車のベンチマークがあふれているときに、急ブレーキや危険回避といったメーカが触れたくないところをさらけ出す。エンコしようが雨漏りしようが楽しくてしょうがないというイタリア車の長期テスト記録。道路行政や警察の取り締まりに対する本質的な疑問の投げかけ。こういった話題が満載で楽しく読んでいた。それでは広告主は? というと、ファッションやアクセサリーやカバンなど自動車以外が多くを占めるようにして、メディアとしての個性と収益性を保っていた。

ネットニュースサイトなどの収益構造は雑誌に近いため、NAVIに続く自動車雑誌が出ないのと同じように、「嘘のない」レビューサイトは現れたとしても少ないと考えられる。
しかし、プログやメールメディアやRSSメディアは違ってくると思う。広告がGoogleのコンテンツマッチで配信されるのであれば、広告主とは直接的な利害関係が生じない。wikipedia式の集合知は、答えのない見解を集結するには向いていないため、Googleのknolのような取り組みがレビューには向いているのかもしれない。

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コメント

とりあげていただいてありがとうございます。
私ももしかしたら、いわゆる「客観的レビュー」にはWikiを使うのが一番いいのかもしれないと思い始めていました。
レビューの詳細な手順を公開して、結果の方もWikiで共有するという方法です。

例えば必ず、まっさらな状態から始める。ソフトはよけいな物をいれない。他に起動していないソフトがないかを確認する、など初心者でも確実に再現できる、細かいテスト用マニュアルをWikiでつくり、さらに同じ機種についてレビューした世界中の人々の意見を集約する、といった方法です。

来週前半までは息をつく間もなさそうですが、移動時間などを使ってじっくり考えてみようと思っています(その前に「後編の原稿を早く出せ」という声が聞こえてきそうですが...)

投稿: 林信行 | 2008.02.15 09:11

客観的レビューにWikiのような共有システムを使うのは確かにいいですね。2つの見方があれば、読者があつまり、広告媒体としての価値も上がり事業が継続できる仕組みになると思います。

(1) まっさらな状態からはじめた結果を集める
なにしろ再現性が高い。地域別の仕様違いやネットワーク環境違いといった因子に影響された分布だけが分かる。(日本のブロードバンドモバイルだと快適な商品だけど、他の国だとだめだね とか)

(2) みんなの今ある状態の結果と評価を集める
ハードウェア・ソフトウェア・周辺機器・利用環境など、1つとして同一条件がないのが、パーソナルコンピュータの持ち味。なのであれば、読者は分布をみて自分の環境に近い評価結果を参考にする。(なるほど、この商品は家庭で利用されるMacでは快適だが、ばりばり放送業務用途だと力不足か・・・といった具合)

## レビューの後編、楽しみにしています

投稿: Nagano | 2008.02.15 11:48

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