アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 第3作 神林長平 著
SFマガジンの連載が収録されている。無意識による思索と言語を介した思考をする人間と、至上命令が与えられている雪風等の機械知性、そして謎のジャムが戦争に決着をつけるべく、お互いを深く探り始めた。その過程でジャムと雪風は、人間の感覚をそのままに様々な体現ができる状況を作り出し、ジャムとの一体化を望むロンバート大佐、特殊戦を守るクーリィ准将、宣戦布告を受け取ったリン・ジャクスン、ジャムに人間を認めさせたい深井零の意識をあらわにしていく。
人間の意識と無意識、言語的な思考と直感的な感覚、機械行動の人格化を題材に、他人との違いや自分自身とは何かといった哲学的・宗教的な命題に対する登場人物達の行動が詳細に描かれる。紙面を読んでいる内に、読者自身の納得・ひらめき・疑念・信頼といった感情がどのようなメカニズムで発生しているのか、考えさせられる作品である。
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